水無月の蒸し暑い一日、品川駅ホームで「スゴイカタイアイス」を購入して、のぞみ号に飛び乗り、一路、京都に向かいました。

私と同歳の釜師である𠮷羽與兵衛さんと今回の個展の作戦会議を行うためです。

京都駅の八条口までわざわざ出迎えに来てくれた満面の笑みの與兵衛さん。

久しぶりの再会を祝し、嬉しい瞬間です。作戦会議の場所として選んでくださったのは、彼と同窓のご主人が切り盛りする美味しい和食処でした。

まあ一献と勧められ（與兵衛さんは本当に勧め上手）、ついつい昼間からきこしめしてしまいました（申し訳ありません）。

さしつさされつ、色んな話をしました。制作活動の事、先代のお父様のこと、京都の諸事情、そして昨今の茶の湯への想いなど・・・

與兵衛さんは、京釜師として、釜など型に鉄を流し込んで作る鋳造だけではなく、うつわなど一枚の金属板を叩いて作る鍛造もなさっています。

鋳造は、ご案内の通り、大変、手間のかかる工程を経て完成します。

ご案内状用にと届いた上にある清新な最新作は、湯沸かしだそうで、畳ではなく、テーブルや卓の上での茶の湯をより楽しんで欲しいという思いから作られたそうです。

とても素敵な佇まいに一目惚れしてしまいました。

湯切れも良く、固形燃料を入れて温める台（風炉）も付いています。

この様に與兵衛作品の魅力は、洗練された造形と美しい肌合いではないでしょうか。

弊廊で六年ぶりとなる本展では、令和の時代に相応しい裏面の様な金工作品、茶の湯釜や花入など最新作40点を発表いたします。

その心豊かなお人柄故に、ファンも多い與兵衛さんも全日ご在廊されます。

茶の湯に親しんでおられる方も、そうでない方も、ご覧頂ければ嬉しゅうございます。

暑い暑い文月の展観で誠に恐縮ですが、ご案内申し上げます。

店主 安田尚史